無防備都市運動

2008年12月25日 (木)

m9(^Д^)プギャー

精華町議会:住民の直接請求による平和条例案否決 /京都

精華町議会は24日、住民の直接請求による「精華町平和・自治基本条例案」を否決した。同条例案は、ジュネーブ諸条約などに基づき外国から攻撃を受けない「無防備地域」を宣言することなどを内容とするが、「地方公共団体の権限を越える」などの意見が相次ぎ、賛成議員はゼロだった。

もはやギャグ。

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2007年1月 8日 (月)

占領って何?軍は現地で何を求めるのか?~2

4:ちょっと脱線

補給というものは、食料に限っても大変だのう、と実感していただけたかと思います。
さてさて、ここでちょいと脱線。
脱線その1
古くはソ連、現在北朝鮮。この国が日本に大規模侵攻を企てうる可能性は低いと言われています。
今まで述べてきたように、補給というのは実に大変なものです。
イラクに1個軍団+αを投入したアメリカでさえ、アフガニスタンには数個旅団しか展開できない。補給がネックだからです。
北朝鮮に日本侵攻を企てる能力がない、というのも大元はこの補給問題です。
そうすると平和運動団体の皆様は異口同音にこういいます。
「じゃぁ自衛隊は必要ないじゃないか!」と。
アホか
いいですか、「自衛隊が存在し、自衛隊を相手にする」ことが大前提なのです。だから補給が大変なのです。
自衛隊なし日米安保なしだったら、それこそ日本制圧に2個師団程度で事足りるのです。
存在することによって相手の方策を困難にさせる。これが抑止力です。

脱線その2
「じゃあ自衛隊がやろうとしているゲリコマ対策はなんじゃありゃぁ!軍拡じゃないか!」
という声もあろうかと思いますが、ゲリラ・コマンドはそもそも概念が違います。
上陸侵攻=面としての戦場確保
ゲリコマ=いやがらせ
ゲリラってのは戦場を確保しないし、できないんです。あくまで嫌がらせ。だから補給できなくてもいいんです。武器も燃料も食料も、なくなったら敵や現地のもの奪えばいいんだし。
たしかに「ゲリラの支配地域」というものはあります。でもね、現地人がゲリラになっている場合ですよ、それ。だから日本にゲリラ・コマンドが侵入して支配地域を作ったら、それは正規軍による大規模侵攻と代わらないわけで、対処も楽なんですよ。
これまで自衛隊は大規模上陸侵攻を受けることだけを考えてきて、少数によるゲリラ対策は後手に回ってきたわけで、これからはその対策もしましょう、ってことなんですよ。

脱線その3
いくらなんでも現代戦において補給を、いわんや食料を軽視する軍隊なぞなかろう、という方もいようかとおもいます。
古今東西、食料や補給を軽視した軍隊はありません。
旧日本軍ですら、補給問題を軽視したことはありません。
正しくは、補給、特に食料を「より重視できない」というべきです。

例1:インパール戦
旧日本陸軍補給軽視の見本のような作戦ですが、実は補給を軽視していません。
上官からインパール作戦を打診された牟田口中将は最初「補給が続かないから無理」と断っています。補給がガンだ、と理解して、補給ができない以上無理、と補給というものを軽視していません。しかし、インパール作戦の出所が東京の参謀本部あたりからものだと知ると、今度は自分でインパール作戦を立案、実行します。
軽視ではないのです。彼の場合、陸軍と大本営の面子を「より重視した」結果なのです。

例2:湾岸戦争
第7軍団第1機甲師団は地上戦の真っ最中、あと2時間で燃料切れになるところでした。この時、軍団長は2つの選択肢がありました。1:第1機甲師団は停止、第1騎兵師団と交代し、補給を受ける。2:何とかして燃料をかき集め、進撃を続ける。
補給を重視するならベストな選択肢は1です。戦闘の最中です。もし燃料が手に入らなかったら?もし燃料の手配が間に合わなかったら?もし敵が燃料トラックを攻撃したら?
戦場では何が起こるかわかりません。
しかし、司令官の選択は2、進撃でした。
アメリカ陸軍で軍団司令官に上り詰めた男、それもベトナム戦経験者、トレーニングセンターで部下を鍛え上げた男の選択です。決して補給を軽視したわけではありません。部下の能力と戦況を秤にかけて、「より進撃を重視」したのです。

5:現地調達とはなんぞや?
さて、現代でも兵隊さんは飢えている。補給というものは大変だ、ということを理解していただけたかと思います。
では、どうやって食料を調達するのでしょうか?
そう、現地調達です。
やっと無防備都市運動の話に絡んできました。
一口に調達といいますが、実際は様々な方法があります。以下、その方法をご紹介しましょう。

A:略奪
一番イメージしやすい方法でしょう。
なに?イメージできない?じゃぁ革ジャン着てモヒカンの男が「ぐへへへ、ありったけの食いもん出しなぁ、お、女が隠れてやがったぜ!ヒャッハー!」という北斗の拳の世界(マッドマックスでもいいけど)を想像していただければいいかと。古来からの伝統にして一番単純な方法で、問題が多い方法です。それ故、現代では国際法・軍規ともに禁止されていますが、それでも起こります。なぜなら「懐が痛まずに兵士の士気を上げる唯一の方法」だからです。
なぜ略奪が起こるか?
それは勝者の権利というより、思想的な問題が大きなウェイトを占めます。
ドイツ国防軍はフランスでは略奪をしませんでしたが、ロシアではしました。フランス人は同じヨーロッパ人種であるのに、ロシア人は劣ったスラヴ人種だと考えていたからです。
アメリカ軍もフランスでは大規模な略奪こそしませんでしたが、暴行や乱闘など大騒ぎを起こし、フランスの町長から「ナチに占領されていた方がマシだ」と言われてしまいます。なんでこんなことになったか?それは「俺たちは弱くて可哀想なフランス人の為に命をはった。だから何しても許される」というある種の思い上がりです。
内戦では見事な鉄の統制を誇った人民解放軍も、越南紛争では略奪を行います。なぜなら劣った南蛮人相手だから。
つまり略奪が起こるか否かは、占領軍が被占領市民をどう見るか?にかかっています。
反日教育を重視する中国、植民地支配を恨む北朝鮮。
あまり明るい占領政策ではなさそうです。
ここでちょいと脱線。
「だから日本は謝罪と賠償をetc・・・」という平和団体の皆様の声が聞こえそうですが、いくら謝罪しても何の意味もありません。中国・北朝鮮の国内問題だからです。
いくら謝罪したところで、国内の意思統一の手段としての反日教育を続ければ、こちらは何もできないのです。
で、話を戻すと・・・。
私は現代日本において、いわゆる略奪が頻発する可能性は、1箇所を除いて少ないと思います。世界でも有数の情報インフラが整っている日本で、そんな事をすれば国際的な批判を受けることは必至だからです。しかし、家電量販店だけは別です。
世界に誇るメイド・イン・ジャパンの家電製品。第3世界からみれば、文字通り宝の山です。物資が豊富な日本人には想像し難いと思いますので、たとえ話をしますと・・・
「古来から憎き敵だった民族の都市を占領したら、お店に金銀財宝が山積みだった」
という状態です。
間違いなく略奪されると思いますがいかがでしょうか?
家電量販店・電気屋さんの経営者の皆様、無防備都市運動に賛同するのであれば、戦後に破産する覚悟で参加した方がよろしいでしょう。

B:徴発
流石に略奪がアレなんで、もうちっとなんとかしたのが「徴発」です。
これも伝統ある方法で、現地のものを持っていくという点では略奪と同じなんですが、性格はまったく違います。
略奪は占領地の物資すべてが対象ですが、徴発は必要なもののみを持っていきます。
略奪を明文化したもの、と理解すればいいでしょう。
食料を例にすれば、
・各家庭にある食料を勝手に、残らず持っていくが略奪
・1家庭あたり米1合を供出させるのが徴発
となります。
ちょっと徴発のほうがマシですね。雀の涙程度ですが、金銭が支払われる場合もあります。
で、その方法ですが、これが難儀でして。

a、軍と住民の直接取引
b、調達官をおく代官方式

aの場合、占領軍が告知して、兵隊さんが持っていきます。その分現地人との摩擦も増えるわけで、占領軍としてはあんまりしたくない方式です。当然最近はあまり行われません。
bの場合、占領軍が行政機構に命じます。ここから先は後述する「買い付け方式」と被るんですが、軍としては、必要なものを摩擦なしに手に入れれば言い訳で、方法は任せるから都市の行政責任者に「~日までに米~トンを出せ」と命じればいい訳です。
すると(例えば市と仮定して)市は買い付けるなり、各家庭からの供出を求めるなりしてかき集めるわけですが・・・
ここが問題です。これは行政が行うものなので当然「無防備都市宣言違反」です。
よって、無防備都市条例を策定した都市の責任者は、有事に物資の供出を求められたら「No!」と言わなければいけません。
そして徴発は略奪と違い、軍が必要とする最低限の物を現地で求める行動です。よって占領軍から見れば、調達に反対する=抵抗運動と同義であり、最悪射殺されても文句は言えますまい。
「それこそジュネーブ条約違反だぁ!」
という運動家の方々の声が聞こえそうです。
そうかもしれません。おそらく、戦中戦後には「違反だ」「違反じゃない」の主張合戦が起こるでしょう。当然主張が通りやすいのは勝った側であり、撃ち殺された当人にとっては「違反かどうか」はどうでもいいことです。「殺されたら文句言えない」のですから。

C:買い付け方式
現在の主流、というか現代でも行われている方式。占領軍や駐留軍が地元の商人と取引して物資を手に入れる方式です。在日米軍だって、イラク駐留米軍だって、現地から食料を買っているわけです。
お金を払ってくれるし、商取引まで無防備都市違反にはなりません(武器弾薬売ったというならともかく)。
いつもニコニコ現金取引はありがたいのですが、その現金はどこの通貨よ?という問題があります。
ドルならどこでも通用します。でも元や北朝鮮ウォンを渡されたら?
当然ですが「日本円でなきゃ売らないよ」という理屈は占領軍には通用しないでしょうな。
またレートの問題もあります。取引レートを決めるのは占領軍です。1北朝鮮ウォン=10,000円とすることも可能です。
「暴利だっ」という声は当然ですが、日本が戦争に負ければ円が紙くずになる可能性もあるわけで、そうなったら「北朝鮮ウォン」で払ってくれて助かった、という未来も予想されます。つまり、道義的にも「そのレートではだめ」といえないのです。
いい例があります。
第2次世界大戦の時、ドイツに降伏したフランスはベルサイユ条約のような過酷な要求がくると覚悟しました。しかし、ドイツの要求は寛容なもので、それもあってフランスは降伏します。が、レートは別でした。ドイツ有利なレートを要求してきて、そのレートで取引を行う事になったのです。そのためドイツはフランスの労働力と工業力を格安で使用できました。フランス降伏時から1~2年はドイツの絶頂期で、ドイツがヨーロッパを統一しそうな勢いでした。つまり戦後体制を見通すならライヒス・マルクがヨーロッパの基軸通貨になりそうだったわけで、フランスもあまり文句はつけられなかったのです。
無防備都市運動のみなさんは北朝鮮ウォンが基軸通貨になる未来を望んでいるのでしょうか?


D:おまけ
今回は食料をテーマに述べましたが、ここでだけ燃料について述べたいと思います。
現代の軍隊では燃料(ガソリン・軽油)は絶対必要なものです。そして日本の都市には民間の燃料が沢山あります。これの扱いをどうするか?無防備都市成立の条件として、ジュネーブ条約でも明文化されていないと思います。
つまりですね、私の住む仙台を北朝鮮(アメリカでもいいぞ)が占領して、さらに東京めざして進撃したとしましょう。そして、燃料も物資も公正なレートで買い付けしたとしましょう。さて、補給を断つのは防御側の当然の戦略です。補給が、特に燃料が絶たれた場合、占領軍は仙台にある民間の燃料を買い付けて行動するでしょう。
そうするとどうなるか?
個々の取引はジュネーブ条約違反ではない。しかし、侵攻軍は仙台の燃料を元に行動している。よって仙台は侵攻軍の策源地=無防備都市宣言違反。
やっかいでしょ。
どっかの掲示板で誰かが言っていましたが、無防備都市成立の要件としてあれこれありますが、要は都市降伏の手順をルール化したものに過ぎないんです。
決して安全や生命・財産を保証したものではありません。


6:まとめ
「たしかに色々問題があるかもしれないが、戦場になるよりマシだし、なにより死ぬよりいいじゃないか」
そんな声が聞こえてきそうです。
けどね、無防備都市運動の方々はどうしてそろいもそろって「戦争=市街戦」と考えるんでしょうか?
あのね、その都市が必要であれば当然守りますよ。でね、市街戦って事は市内に入り込まれているわけで、都市機能は喪失しているわけですよ。都市を守るのはまず都市前縁部で守るんです。防衛に成功すれば当然市街戦にもなりません。
なぜ市街戦がおこるかといえば
・都市そのものを占領したい
・敵の侵攻を少しでも遅らせなければいけない
・絶対敵に渡したくない
こういった理由で起こるんです。
昔の城攻めと同じで、市街戦やりたい奴なんていませんよ。
最大多数の最大幸福。
自衛隊だって、その都市が必要でないと判断したら(その都市の方々には申し訳ないが)いかに大都市でも捨てます。逆に、いかな小都市でも必要と判断したら全力で守ります。そこに無防備都市条例なんてものが張り込む余地はありません。
なんか守りきれないね、でもこのままだと市街戦に雪崩れ込みそうだね、でも市民の被害は抑えたいね。こういう時に宣言するものなんですよ、無防備都市宣言って。
つまり、抵抗しておいて損はないんです。抵抗すれば、占領されないかもしれない・市街戦になるかもしれない。
でも最初から無防備都市宣言したら、今まで述べたような補給問題は必ず起こります。
無防備運動の方々、占領って行為を舐めてませんか?
沖縄戦を持って戦争=市街戦という宣伝はやめていただきたい。
さて、最後以下の文を持って締めたいと思います。

「無防備運動は、最初からカードをオープンにしてポーカーするようなもの」

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占領って何?軍は現地で何を求めるのか?~1

全国各地で広まりつつある無防備運動。
その思想の根底にあるのは、「無防備であれば戦争には巻き込まれない」という考えです。その代わりに占領されるというリスクを負うわけですが、彼らは必ずこう答えます。
1:暴行や略奪は占領統治を難しくするだけだから、決してしないはずだ。
2:仮にしても、それはジュネーブ条約違反だから罰せられる。
3:そもそも戦争に協力しないのだから、危害を加えられるおそれもないし、敵に協力するわけでもないから国を裏切るわけでもない

この思想には、軍が占領したときに、何が起こるか、その影響はどんなものがあるか、という冷静な視点がすっぽり抜け落ちているように思われます。
(管理人としては、彼らの平和運動は幻想としての平和運動である、という考えなので、当然といえば当然ですが)。
しかし、ヒステリックにベルリンでの暴行やドレスデンを持ち出しても冷静な指摘とはいえないでしょう。
そこで、この連載では「軍は現地でなにを求めるか?」を考察して見たいと思います。
かなりわかりやすくするため、またその他の派生した話もありますので、少し長いですが、お付き合いいただければと思います。
なお、さらなる無防備運動の矛盾点については週刊オブイェクトさんが詳しいですのでご覧ください。


1:軍とは何を消費するのか?
弾薬・燃料・食料。
軍が戦うのにこの3つは必ずいる物です。弾が無くては戦争はできませんし、燃料がなくては車両は動きません。そして飯がなければ生きていけません。
このうち「弾薬」は現地調達できませんが、「燃料」「食料」は現地調達が可能です。
さて、ここでちと脱線。
おそらく、無防備運動の皆様方からはこんな反論がくるでしょう。
「いまどき補給を軽視する軍隊なぞない。まして日本に侵攻するなら、補給体制も万全なはずだ」
そこで、今度は「補給」とはなんぞや?ということを書いてみましょう。でないと「なぜ軍は現地調達するのか?」ということがわかりませんから。

2:補給とはなんぞ?
ゲームであれば「補給ポイント」、マスコミ報道でも「弾薬~トン」と表現される補給ですが、日本人(物流・ロジスティクス関係者除く)は「物資を送ればOK」「必要量を満たせばOK」と考えている風潮があります。
完全に間違いです。
必要な物を、短時間で、正確に必要な対象に渡す、これが補給です。
わかりやすくする為、皆さんに一般的な「食料」を例にとりましょう。
兵隊さんが一回に食べる食料として米(生米)100g、おかず250gを想定します。
俺の食生活より豊かだよ、という方もいらっしゃるでしょうが、糞重たい装備抱えて戦闘を行うのです。陸軍は体力勝負。おそらくこれでも少ない想定だと思います。
さて、軍隊では1日4-5食が相場です。民間人は一日8時間労働だからですが、軍隊は、特に戦争中は24時間ですから。つまり、350g×4=1,400gが1日あたり兵一人に必要な飯、さらに水が個人で500ml、調理用の水が個人単位で500mlとして合計2400g=2.4kgが1日に必要になります。
今度は兵力規模を想定しましょう。攻者3倍の原則というものがあります。例えば新潟上陸→首都進撃の最短コースで日本に侵攻と想定してみましょう。上越地区で陸上自衛隊1個師団、関東地区で1個師団、計2個師団が相手として、攻めるほうはその3倍の6個師団が必要兵力となります(話を簡略化するため、空自海自相手による消耗は考えません)。奇襲できるとしても、最低同数。つまり2個師団。
続いて1個師団とは何人なのか?これが国によって様々ですが大抵1万人から2万人。北朝鮮陸軍の歩兵師団だと1個師団約1万人。2個師団で計2万人。よって2万人×2.4kg=48トン。これが1日に必要な食料となります。
そして作戦予定日数を決めなければいけません。新潟-東京間を、自衛隊の抵抗を排除しつつ4日で走破するとして192トン。予定外の戦闘行動があったとして(戦闘が伸びました、食べる物がなくなりましたでは洒落にならない)追加4日分で計384トン。戦闘による消耗を考えて(物資集積所を攻撃されました、初日に食べる物なくなりましたでは洒落にならない)予備2日分で計480トン。この480トンが日本侵攻に必要な食糧となります。
次に、この食料をどうやって運ぶか、という問題移ります。1日48トンだから4トントラック12台でいいのか?
間違いです。
デポに480トンの食糧があり、そこから12台のトラックで1日分を運ぶ。初日はそれでもいいでしょう。しかし、トラックが戻ってくる間にも部隊は進撃し、運んでいる間にも進撃します。かといって120台のトラックで部隊のあとをついていくわけにもいきません。そんな大コンボイ、ただの的です。実際にはこうなります。
集積所―野戦集積所―師団集積所―各部隊
何ヶ所か物資が滞留する場所をつくり、その間をトラックが行き来します。そして進撃距離が伸びれば
集積所―野戦集積所―野戦集積所―師団集積所―各部隊
と延びていき、後方地域が安定すれば
集積所―(鉄道輸送)―野戦集積所―師団集積所―各部隊
となります。
集積所―野戦集積所―師団集積所―各部隊
として、師団集積所―各部隊間は師団手持ちのトラックが輸送してくれますから
集積所―野戦集積所―師団集積所のそれぞれの間のトラックの必要量を考えればいいわけです。
集積所―野戦集積所間に行き来する分も考えて4トントラック24台、野戦集積所―師団集積所間で4トントラック24台、合計48台。戦闘行動が延びて野戦集積所が追加された場合も考えてさらに24台。ここまで合計72台。さらに戦闘による消耗が20%、事故・整備による消耗が20%としてその分28台追加で100台。12台で1グループとして、そこに指揮慣用車両(ジープ)が1台、全部で予備含めて全部で8台。
人員としてはドライバー72名、護衛・積み下ろし・交代要員(助手席)72名、指揮官6名、副官・通信兵12名、集積所要員に指揮官3名、副官・通信兵9名、管理90名、護衛90名。合計354名。
たった2個師団の8日間の作戦行動を支えるだけで、これだけの人員・車両が必要になります。当然彼らも飯を食うわけで、2.4kg×354×8=約6.8トンの食糧が追加で必要です。
さぁ、これでOKなのか?
んなわきゃない。
新潟港に上陸したとして、最初に上陸するのは当然戦闘部隊です。2万人とその装備の上陸を12時間で終えたとして、補給部隊は最後。補給部隊が上陸するころには、侵攻部隊の戦闘は50kmは先をいっています。補給部隊の進発とデポの構築を同時にしたとしても、先頭部隊が止まってくれないと補給部隊は追いつけません。つまり、どこかで1日程度は停止する必要があります。今回は作戦日数4日、延伸したとして4日、予備2日で想定しましたが、そこに補給停止の分を加えると作戦日数4日に補給停止1日、延伸4日分に補給停止1日、予備2日、本当は計12日を想定しなければいけません。ああ、さらに必要量が増えていく・・・。

3:補給物資としての食料の意味。
現代戦で必要な物資は3つあります。弾薬・燃料・食料です。この3つのどれが欠けてもいけません。
が、この中で食料はかなり特異な性質を持ちます。
戦争という観点から見れば
弾薬がなかったら戦えません。
燃料がなかったら車両は動きません。
食料がなかったら・・・・1日2日は大丈夫です。
しかし、人間という観点からみれば
弾薬はなくても燃料がなくてもOKですが、食料がなければ死にます。
ここが食料の厄介な点です。
ガダルカナルを、スターリングラードを見てください。
補給が途絶し、餓死者まででましたが、最後まで戦いました。
つまり、戦場でもっとも軽視される補給物資、それは食料です。
ここ、よく覚えていてください。
さて、ちょっと話がかわりますが、軍隊は補給のためにどれくらいのトラックを保有しているものなのか、ご存知でしょうか?
上で例に挙げた北朝鮮陸軍の一個歩兵師団の場合、500両超のトラックを保有していますが、これは部隊の輸送.牽引に使われるものがほとんどです。
実はどの軍隊もまともに補給用のトラックは保有していません。
それは補給量の想定が難しいからです。
港は使えるのか?港の荷揚げ能力は?作戦日数は?進撃距離は?消費弾薬・燃料量は?
それこそトラック1000台でOK場合もあれば、10000万台のトラックでも不足の場合もあります。
例をあげましょう。
第2次世界大戦で米軍は綿密な補給計画を立て、トラックを準備しました。しかし、急進撃により計画は崩壊、続々後続して上陸してくる味方師団のトラックを奪い取って補給を続けました。
湾岸戦争ではヨーロッパから持ってきたトラックでは足らず、その多くのトラックを民間に頼りました。
補給重視の米軍ですらこうなのです。
さて、ここらで「なぜヘリコプターによる補給を想定しないのか?」とお叱りを受けそうなので説明します。
ヘリによる補給というのは、実は効率的ではありません。
基本的に悪天候に弱く、トラックより頻繁に整備を必要とし、燃料を消費し、専門の人員が必要で、金食い虫です。
ヘリは便利ではあっても、それを主として補給計画を立てることはできません。サブでもある程度お金持ちの軍隊でないと使えないのです(そしてさらに補給への負担が高くなる)。
ここらで、大体の皆様のにおかれましては、なんとなく戦場での補給というものがいかに大変で、実態が分かってきたかと思います。
トラックは不足で、食料はあっても、優先すべきは弾薬で、部隊が進撃するかぎり簡単には最前線にはとどかない。
つまり、侵攻部隊がいかに食料を持ってこようとも、前線の兵士は常に飢えているということです。
確かにそれを防ぐため戦闘糧食(コンバット・レーション)というものは存在します。
しかし、あれはあくまで非常用なのです。MREを開発した米軍でさえ、できる限り調理した温食を配給せよ、1日1食以上MREを連食するな、と指示しています(そんだけ体によろしくない)。
また、MREというのはかかなり異色のレーションです。
1食単位でかさばらず軽量。しかし連食不可。
ヨーロッパ系のレーションだとこうはいきません。1日単位のパッケージで嵩張り重い。そのかわり連食可能。
レーションは万能ではないのです。
もう一度いいます。

トラックは不足で、食料はあっても、優先すべきは弾薬で、部隊が進撃するかぎり簡単には最前線にはとどかない。

それが何をもたらすか?

補給重視の米軍ですら、兵士の士気を重視する米軍ですら

「MREは1日1食?1日2食はMREだよっ!」(byコソボに進駐したKFORの米軍兵士)

という事態です。最前線の兵士は常に新鮮な食料に飢えているのです

※1 MREがどんなものか、体験したい方ははヤフオクかサープラス・ショップで購入して食してみるがよい。1食だけなら「まあ、割とうまいんでね?」2食目からは「タバスコない?」3食目からは「吉牛食いたい」となってしまうものである。しかも、もれなく便秘になるおまけ付き。

※2 まぁ、レーションの悪口になってしまったが、実際各国とも食料補給には頭を抱えているわけで、補給の負担を軽減しようと、必死になってレーションを開発しているわけだ。が、寡聞にも中国や北朝鮮が優秀なレーションを開発したという話は聞いたことがない。

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2006年1月25日 (水)

国家と軍隊

ふう。
なんか間が開いてしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうかulyssesです。
世の中ホリエモンだストップ安だと騒いでいるなか、相も変わらず無防備の方々は叫んでいるようです。
詳しくはググっていただくとして、京都無防備の皆さんが、市長が無防備都市条例反対って言ったもんだから、また騒いでいるようです。いったい何がしたいんだが。
一方大津のブログは140近くあったコメントがバッサリ削除されたようです。
もっとも、煽りの類が残っていたり、トラックバックは残っていたり、基準が良くわかりません。
ひょっとして、ブログの編集方法しらないんじゃ・・・w
さてさて、無防備マンにしろ反戦平和にしろ、必ずといっていいのが「軍隊は国民を守らない」です。
いくら「有事のときどうする?」と問いかけても「軍は国民を守らない」「沖縄を見ろ」と帰ってきます。
では、本当に軍隊は国民を守らないのでしょうか?
答えはYESです。
軍は国家の為に動きます。
ただし、それはいけないことなのでしょうか?
ここに一本の橋があります。
向こう側には逃げ遅れた国民が大勢いて、こっちに向かってきます。
敵は戦線を突破し、状況は混沌としています。我がほうは総崩れです。
果たして橋を爆破すべきでしょうか?国民を守るため橋を死守すべきでしょうか?その結果、さらに多くの国民が犠牲になっても?
これが問題なのです。
確かに国民なくして国家は成り立たず、国家なくしても国民はいます。しかし、国家が無くなると大抵ロクデモナイ事態になります。無政府状態の国がどうなったか、歴史を知るものにとっては常識のはずです。(降伏=国家消滅じゃありませんからね)
つまり、軍は国家を通して国民を守るのです。
もちろん、結果として多くの国民が犠牲になった沖縄戦、サイパン戦は悲劇であり、忘れてはなりません。国民をどのようにして守るか明確な計画を立てなかった軍は非難されてしかるべきです。と同時に犠牲があって今の日本があることも事実です。
この辺の観点から考えると、無防備都市運動というのは
「ほかはどうなってもいい、国家がなくなってもかまわない、自分だけ助かればいい」という究極のエゴイズムに思えてなりません。
無防備の方々からは「そうではない、無防備都市が広がれば~」と反論がくるかもしれませんが、それでは無防備都市運動ではなく、「戦争になったらさっさと降伏しましょう運動」です。
とどのつまり、この人たちのやってることは支離滅裂ってこってすな。

閑話休題

間が空きましたが、続きおば。

必至になって無防備都市条例を振りかざす仙台市長。しかし、占領軍からは拘束を示唆され、やむなく引き下がった。このままでは、このままでは、仙台が火の海になる。回避するための無防備都市宣言だったのに・・・。
その時、市長の脳裏にあるアイディアが浮かんだ。
自衛隊が反撃するから戦争になるのだ!自衛隊に、仙台は無防備都市を宣言しているので攻撃すればジュネーブ条約違反ということを伝えれば!
さっそく市長は電話をとった。

「こちらは仙台市長です。あなたは?」
「統合幕僚長です」
「さっそくですが、仙台は無防備都市を宣言しておりますので、米軍への反撃はやめてください」
「はぁ?」
「攻撃したらジュネーブ条約違反ですよ」
「いや、その前に、アメリカ国民になるってことですか?」
「そんなことは言ってません!戦闘を回避して、話し合いで解決してください!時間がかかるかもしれませんが、話し合いで解決すれば、仙台はまた日本に戻ります!」
「いや、そうかもしれませんけどねぇ。うちらも戦闘を回避して戦死者がでないのは大歓迎ですよ。でも何年かかるかわかりませんよ?10年100年かかるかもしれないし」
「時間がかかってもいいんです!人が死ぬかもしれないんですから!」
「なるほどねぇ。ところで財源はどうするんです?」
「は?」
「いや、米軍占領中の地方公務員の給料ですよ」
「はぁ?市の税収と地方交付税からでしょうが」
「でないですよ」
「へ?」
「貴方たちは望んで米軍占領下に置かれたわけですから、米軍の軍政開始と同時に国からの支援は止まっています。あとは市の税金でなんとかするしかないでしょうね」
「そんな!米軍占領下で、ただでさえ経済は悪化して崩壊寸前なんです!そこに市民税増税なんてしたら、市民からリンチにあいます!早く助けてください!」
「じゃ、いまから反撃して仙台を米軍から奪回します」
「いや、それはだめです。急いで話し合いで解決すればいいんです」
「それ言われてもなぁ。戦力が均衡しているから、話し合い長引きますよー」
「そこをなんとか」
「あとは米軍を凌駕する大兵力を展開できれば、孫子の戦わずに勝利する、ができるんでしょうけどねぇ」
「じゃぁ大兵力を展開すればいいじゃないですか!」
「じゃ徴兵制でもしきます?」
「・・・・と、とにかくっ、攻撃はやめてください!」
「じゃ仙台港・仙台空港の使用をやめさせてください」
「できるわけないじゃないですか!相手は鉄砲もってるんですよ!」
「じゃ米軍に協力しているってことでジュネーブ条約違反っすな」
「そんなぁぁぁぁぁぁ」


続く?

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